土浦海軍航空隊廻戸喞筒所及び貯水タンクの沿革

 土浦海軍航空隊には、2カ所の喞筒所(そくとうじょ=ポンプ所)があった。1カ所は「霞台喞筒所」であり、もう1カ所がこの廻戸(はざまど)喞筒所である。

 霞台喞筒所は現在も改築の上陸上自衛隊土浦駐屯地が利用しているが、廻戸喞筒所の方は時期不明だが施設が撤去され、現在は民有地となり会社倉庫や住宅地となっている。

 廻戸喞筒所跡は、谷間に造成された「島廻ハイツ」という新興住宅地の一角にあり、かつてはここの地下から地下水をくみ上げて、これを高台にある貯水タンク(圧力槽。現在はノブレス倉庫敷地)に送水していた。

 現在、貯水タンクの基部と思われるコンクリート構造物や、台上の貯水タンクと谷底の喞筒所を結ぶ細い道が戦前のまま残っている。

(参考資料:『阿見と予科練』、『土浦海軍航空隊引渡文書』)

廻戸喞筒所の貯水タンク跡

株式会社ノブレスの倉庫である写真中央の建屋の場所辺りが貯水タンクの跡地である。

同 上

同じ建物を別の角度から見たところである。 倉庫の向かって左側に不自然なコンクリート製の基礎が見える。

同 上

コンクリート製の基礎を近くで見たところ。

単なる倉庫には必要性のない構造であり、材質自体も古い物なので、多少の改修はあるかも知れないが、貯水タンク(圧力槽)の基礎部分の一部ではないかと考えられる。

古いコンクリート廃材

倉庫の近くに積み上げられていた古いコンクリートの廃材。おそらく海軍時代の物ではないかと思われる。

貯水タンク跡地の東側

上の写真の倉庫の裏手に回ったところ。 倉庫敷地の中を勝手に通行するわけにはいかないので、海軍時代から残る民家の間の小道(廻戸交差点東側。上掲地図に破線で示した道)を通って行った。

廻戸喞筒所に下る道

上の写真を撮影したのと概ね同じ場所から細い坂道(下り坂)を見下ろしたところ。

この坂道は海軍時代から残っている道で、これを下っていくと廻戸喞筒所の北側に出る。

下り坂の途中

水源地に近いから当然かも知れないが、坂の下の方は道が濡れており、少量の湧き水があるように思われる。

坂を下ったところ

写真道は坂を下りきったところで途絶えているが、かつては喞筒所(写真右側)に繋がっていたものと考えられる。

土浦海軍航空隊第二金属工場跡を望む

写真左奥のコンクリートが見える付近(駐車場)が第二金属工場跡地である。

廻戸喞筒所跡

写真中央、雑木で屋根と2階部分しか見えないが、焦げ茶色の壁の民家のある場所辺りが廻戸喞筒所の跡地である。

同 上

地上からではわかりづらいので、近傍にある十握神社境内に登って遠望したところ。

写真中央の茶色い民家の場所辺りが喞筒所跡。

先程下った坂は、写真右端の斜面にある。

(H23.05.29 uploaded)