(東京都千代田区)

近衛機関砲第一大隊

近衛機関砲第一大隊は、元は近衛第一師団の隷下部隊で、二式多連装機関砲(通称ケキ砲)を装備した機関砲中隊7個、二式双連機関砲(通称ソキ砲)を装備した機関砲中隊2個から成り、人員約800名で編成されていた。主な任務は皇居の防空であり、昭和20年には、新設された高射第一師団隷下に編入された。

これらの機関砲は、高射砲とは別に近接防御用に開発された「九八式高射機関砲」(試製九四式機関砲を元に完成したもので、口径20mm、初速は950m/s、毎分300発の発射速度。弾倉は20発入りの箱型弾倉。最大射程5,500m、最大射高3,500m)を連装化したものである。ただ、20ミリという口径は、砲を軽くして野戦機動するには良いものの、高射機関砲としては有効直線射程距離は約1,000m程度と短く、B29のように高々度から爆撃する敵航空機には全く歯が立たなかった。

現在も、千鳥が淵南側の陣地跡地(現在は公園になっている。)にコンクリート製の機関砲の台座が7基残っており、それぞれ石の板が張られてベンチとして利用されている。

近くには師団司令部が使っていたと思われる防空壕の入口跡も残っている。

西側から東の方向を見通したところ

この機関砲陣地跡地は、千鳥が淵南側の道路沿いにある土塁の上にあり、現在は公園となっている。陣地の南側はすぐ皇居である。

一番西側の台座

かつてはこの上に機関砲が据え付けられていた。今は石板が張られてベンチとして使われている。同じような台座が硫黄島にもあった(機関砲もまだ付いているが)。

2番目の台座

3番目の台座

4番目の台座

5番目の台座

5番目の台座の東側から西側を見通したところ

写真のように、台座はジグザグ状に配置されている。

6番目の台座

一番東側の台座

(平成15年8月12日更新)