第五十聯隊の伍長

【平成13年2月21日】

 この写真は、兵科不明の第五十聯隊所属の伍長で、撮影時期は昭和13〜14年頃である。

 軍衣は昭五式冬衣で、鍬形の襟章は取り外され襟部徽章(聯隊番号)が直接縫い付けられている。 腰には刀帯ではなく下緒を付けた帯革を装着し、九八式軍刀(将校用軍刀)の吊環に直接下緒を取り付けている(金具を使っていない)。 軍刀の刀緒は革製の下士官刀緒である。 柄の位置から見て、かなり長い軍刀のようである。

 昭和13年に九八式軍装が制定されると、それ以降、従来の昭五式と九八式とが併用されるようになった。 ただし、昭五式はそのまま着用されたのではなく、写真のように襟章を取り外して襟部徽章を直接取り付けるようにするか、或いは襟章と肩章を取り払って新たに九八式襟章を取り付けるかのいずれかとなった。 下士官の軍刀には、明治時代以来の三十二年式軍刀(甲と乙の2種類)と昭和10年制定の九五式軍刀があるが、昭和9年に九四式軍刀が制定された後は、本来将校向けの型式である九四式軍刀や九八式軍刀を自分で購入して佩用する者もいた。 一説には、下士官の私物九八式軍刀は木鞘革覆だったとも言われるが、実際はそうばかりとは限らず、この写真のように鉄鞘光沢塗装の場合もあった。