【平成16年8月16日掲載】

明治神宮御参拝のグロスター公殿下

ここに紹介します一連の写真は、昭和4(1929)年5月に来日した英国のグロスター公の写真で、アルバムの一部が切り取られたものです。
この来日時、公爵は主に東京、京都、神戸等各地を訪問されましたが、そのうちの一部が、これら写真に写っている、聖アンデレ教会、明治神宮、陸軍習志野演習場というわけです。
写真に写っているのは、グロスター公ヘンリー・ウィリアムで、当時の英国国王ジョージ5世の第3王子で、英国の名門貴族であるグロスター公爵家を継いだものです。この公爵家は王室公爵家(日本で言えば宮家のようなものか)の一つで、当主は王室から出ています。グロスター公は1900年生まれで1974年に亡くなっています。妃は第7代バックルー公女のアリス・クリスタベル、現在の当主は実子のリチャード・アレクサンダー・ウォルターです。

写真には、礼装の海軍少将や飾緒を付けた陸軍将校(侍従武官か?)達の姿が見えます。

聖アンデレ教会のグロスター公

この写真が撮影された「聖アンデレ教会」は、建物は建て替えられていますが現在も東京都港区芝公園3-6-8にあります。ここは、海軍の水交社(今はメソニック39森ビルがあります。港区麻布台2-4-5)の斜め向かいに位置し、現在は200mほど先に東京タワーがそびえています。
写真の説明書きにある、「香蘭女学校」とは、英国教会から明治19(1886)年に日本に派遣された第2代日本主教E.ビカステスが設立した「聖ヒルダ伝道団」の事業の一つとして創立された学校で、当初明治21(1888)年4月に東京市麻布区永坂町(現在の東京都港区麻布永坂町)にありました。その後、明治43(1910)年11月に火災で焼失、大正元(1912)年9月に芝区白金三光町(現在の港区白金)で再興しました。グロスター公爵が「聖アンデレ教会」を訪問したのは学校がここにあった時代のことでした。(因みに、その後更に移転し、現在は品川区旗の台6-22-21に所在しています。)
次に、この香蘭女学校と整列しているガールスカウトがどのような関係なのかというと、香蘭女学校は我が国における「ガールスカウト発祥の地」という由緒を持っているのです。 大正9(1920)年、ミス M.グリンストリートの指導の下、英国ガールガイズ(Girl Guides)の支部である「日本女子補導団東京第一組」が香蘭女学校で設立され、以後、ガールスカウトと名を変えて日本全国に組織されていきました。

習志野におけるグロスター公

陸軍習志野演習場は、現在の千葉県習志野市・船橋市にまたがる演習場で、陸軍騎兵学校(現在の陸上自衛隊習志野駐屯地)に隣接していました。現在も陸上自衛隊の演習場として一部が残っていますが、半分以上は工場などの敷地となっています。