【平成13年3月12日掲載、平成16年7月4日修正】

友人と共に

 入営から9年半、縫工准尉に任官した頃の写真。 左側が祖父。 右側は初年兵当時からの友人で、写真帖に兵時代からの多数の写真が貼られている。

 2人の軍装は同じ九八式でも所々特徴的な違いがある。 右側の准尉はオーソドックスなスタイルであるが、祖父の方は当時青年将校が好んだスタイルである。

 軍帽は、右側が平べったい形状の「ロス式」で、祖父の方は襠が高い「チェコ式」である。

 冬衣はどちらもオーダーメイドだが、祖父の方は物入(ポケット)の蓋の形状が尖った形状の裁断になっている。 腰部はどちらも青年将校の間で流行っていた絞り気味の造りになっている。

 下緒については、右側の准尉は一般的な略刀帯の革製下緒だが、祖父の方は騎兵用の金属製グルメットである。 また、長靴には拍車も付けている。

出征する大叔父との記念写真

 前列向かって左端が祖父の弟で、姫路の輜重兵第十聯隊の所属であった。 階級は上等兵。

 この写真が兄弟一緒に写った最後の写真となった。

大叔父文雄の出征直前の記念写真

 昭五式冬衣袴に襟部徽章(番号)を外した輜重兵科襟章(藍色)と上等兵肩章。弾薬盒は騎兵用のもので、腰には柄に白布を巻いた三十二年式下士官刀甲。 銃は短い三八式騎銃で保護のため白布を巻いている。 靴は長靴で拍車を付けている。

下士官と共に

 祖父の軍刀はおそらく脇差であり、標準的な軍刀の寸法である2尺2寸よりもかなり短い。 偕行社等で斡旋していた出来合の物を買ったのではなく、古い脇差に特注の拵を付けたものであろう。 鞘は革覆を付けているようである。

 隣の下士官が持っているのは三十二年式下士官刀。