(平成11年4月27日掲載)

「国境事変従軍記章」は、第1次・第2次ノモンハン事件に従軍した日満両軍の将兵に授与された物であり、満州帝国の従軍記章である。制定年月日は不明だが、昭和14年9月以降なのは間違いない。

ノモンハン事件は、昭和14年5月11日から9月16日の停戦協定までの満州・外蒙古国境線をめぐる紛争であり、当初は越境してきた外蒙古軍と満州国軍との小競り合いであったが、これに日本の関東軍とソ連軍がそれぞれ兵力を投入したことにより大規模な戦闘となり、日本軍はソ連軍の航空・機械化部隊の前に壊滅的打撃を受けた。

綬の幅は約3.6cmで、章は銅製である。

国境事変従軍記章には2種類あり、写真右側が一般的な形式の物であり、左側が比較的数が少ないと言われる別形式の物である。

表側の両者の違いは、@蘭花紋章の大きさ、A鳩の大きさ、B鳩の後ろの雲の形状、C地球の形状、D飾板の大きさ、E章の吊金具のデザイン、である。

裏側にも若干違いがあり、章の「国境事変」の文字の太さが異なっており、また、吊金具のデザインが表側同様多少異なる。

なお、国境事変従軍記章は「負け戦」の従軍記章であるため、これを佩用した例は極めて少ないと言われている。 このため、保存状態の良い物が多い。

箱にも違いがあり、右側の一般的な物は文字がやや細めであり、左側の稀少な形式の物は太い。
箱の中も色が異なっており、通常は右側のような茶色張りであるが、別形式では左側の黄色である。