(其ノ一)

【平成12年12月26日】

 平成12年11月末から12月上旬にかけて布哇(ハワイ)オアフ島に行く機会があり、十分とは言えないながらもいくつかの旧日本軍関係の戦跡を訪れることが出来た。 今回は、遺跡遺構展示館の番外編として簡単に紹介したいと思う

アリゾナメモリアル

 昭和16年12月8日(ハワイ現地時間では7日)、帝國海軍の艦載機が真珠湾に停泊中の米太平洋艦隊を奇襲(実はルーズベルト大統領は事前に知っていたのに、政治的効果を考えて敢えて迎撃させなかったのだが)攻撃し、多数の艦船・航空機等を破壊する戦果を上げた。

 この際に大破着底した戦艦アリゾナは引き揚げが困難なことから、脱出できなかった乗組員約千名を乗せたまま「水葬」とされ、艦体を跨ぐように海上に慰霊のための白い記念館を、また対岸に資料館が建設された。

 今回は海上の記念館に行く時間はなかったが、陸側の資料館は見学できた。 中の照明が暗くてまともな写真が撮れなかったので残念ながら画像は紹介できない。 内容的には、アリゾナの各種精密模型や遺品類、日本軍の艦上爆撃機の機体の破片や提督達の紹介など。 話によると、数年前から日本軍関係の展示を増やすとともに、日本軍を一方的に非難する論調を控えるようになったという。 日米関係を考慮したものだろうか。

戦艦アリゾナの錨

海底から引き揚げられたもので記念館の入口付近に展示されている。当たり前のことだが、戦艦の物だけあって非常に大きい。

フォード島を臨む

 フォード島は真珠湾の中央にある島で、アリゾナはこの島に停泊していた。写真中央やや左の白い横長の建物がアリゾナ記念館で、この真下に船体が沈んでいる。 かつてこの上空を日本軍機が飛んでいたのを想像すると感慨深いものがある。 その左に見える大きな艦船は戦艦ミズーリである。

潜水艦ボーフィン号

 アリゾナ記念館に隣接してある潜水艦記念館で、大東亜戦争時に「活躍」した潜水艦ボーフィンが展示されている。 市販の日本語ガイドブックには殆ど載っていないが、この潜水艦は、戦争末期に沖縄から長崎へ疎開する学童を乗せた輸送船「対馬丸」を撃沈した潜水艦であり、日本人としてはこの様に堂々と誇らしげに展示されていることには心情としていささかの違和感を覚える。 もっとも、子供が乗っていると知っていて撃沈したわけではないのだが。 ちなみに、同じ敷地内には、特攻兵器「回天」も展示されている。