10月1日(日) 晴れ 

外出なし。 演習に於ける不法行為の為なり。

教員も助手も外出止め。 甲板掃除 水の無いところを、ワラ雑巾で「マワレ!マワレ!」で、約一時間、へたばる。

午後 銃点検あり。

かくて楽しき筈の日曜日も、むなしく終わる。

10月2日(月) 晴れ 

特記なし

10月3日(火) 晴れ 

発整始まる。応用整備なり。

夜分隊長より演習に関しての話「大宮テニアン」島に関連して演習の行為を思い出し、何かやるように言われる。

夜酒保あり。キントン飴。

10月4日(水) 晴れ 

発整四時間 球技 マット体操 空転。

10月5日(木) 曇り後雨 

副当直練習生 入隊2回目 部隊の引率は難しい。

10月6日(金) 雨 

風雨 電灯消え真っ暗の中寝具下ろしをする。

10月7日(土) 雨 

雨足はやく 風ますます強し。第一発動機実習場にて荒天準備を行う。

窓ガラスが風に飛ばされない程度にする。

酒保 マンジュウ二個。

10月8日(日) 雨後曇り 

大詔奉戴日 朝よりなまぬるい風 大風になる。

一番大きな建物の兵員烹炊場がぶっ倒れる。このため朝食なし。乾パン4個と紅茶。

大掃除、兵舎の屋根直し。

10月9日(月) 晴れ 

午前発整 実習場の行き帰りに見る烹炊場誠に哀れなり。 午後体操。

10月10日(火) 晴れ 

夜 酒保あり。 カルミン錠。

10月11日(水) 晴れ 

点検整備始まる。予科練最後の教務と思ゆ。 生まれて初めて 海軍新鋭戦闘機「紫電」を見る。

10月12日(木) 晴れ 

午後 上羽教員退隊される。

これで第二十一分隊におられた教員12名の内二分の一の六名になる。

現在戦局極めて切迫せし故ならん。

10月13日(金) 晴れ 

10月14日(土) 晴れ 

10月15日(日) 晴れ 

外出 例の如く歩き回る。

班長と班員で写真を撮る。

最初で最後永久にいい想い出として残るであろう。

隊まで駆け足帰る。使用金一円。

10月16日(月) 晴れ 

巡検後 総員起こし「テーブル支え」。

テーブルの上に伍補座る。一人でも力を弛めると、他人に重みがかかる。協同精神大切なり。

10月17日(火) 晴れ 

本日 手旗競技あり。

送信 「敵見ゆ。テニアン島西方六十キロ」  対する受送信は「タイアタリ。」 「ヨカレンイッキセイ」 「セントウキ」・・・・なり。

三十個班中十一番なれど、第七班が一番悪く、話が多すぎ第二練習生隊長より、罰直として一時間ほどの不動の姿勢をとらせられる。

食事前 又罰直「テーブル支え」 力を弛めると上の食事が落ちる。 満身の力を込める。

10月18日(水) 晴れ 

昨日の罰直気になる。 十二分に努力したつもりだが、軍隊は連隊責任だから止むなし。

10月19日(木) 晴れ 

10月20日(金) 晴れ 

補機の試験あり。気化器 発電器 電動起動機について。

続いてマット体操の試験あり。 優勝 倒立悪し。 ちり紙、石鹸の配給あり。

10月21日(土) 晴れ 

午前中 点検  午後 体操試験ある。夜酒保止め、マンジュウ17人分たらず。

同じ分隊内に、かくの如き事をする者が、いるとは真に情けなし。

10月22日(日) 晴れ 

五部は外出。 我等は大掃除後 発動機実習場で作業する。

午後休業。

四時より軍歌演習、終了後分隊長の命令に従わずとて、一時間の不動の姿勢。

兵舎まで軍歌演習をしながら帰る。夕飯遅くなる。

10月23日(月) 晴れ 

靖国神社臨時大祭。分隊長点検後揺拝式あり。 

第一課業銃剣術の試合、五班の者として勝つ。

第二課業縮射射撃あり。 十メートルの距離より撃つ。

午後防空壕作業ある。

10月24日(火) 晴れ 

夜間防空演習あり。総合訓練にして兵舎警戒隊になる。

10月25日(水) 晴れ 

午前中体操試験あり。

鉄棒「足掛け上がり、逆上がり。」。マット「前転び、水平跳び」。徒手体操「筋肉運動、体前屈、倒立、」予科練としての体操はこれで終わる。

後球技「排球」、海軍では排球極めて盛ん。五部に負ける。

10月26日(木) 晴れ 

飛関試運転行う。夕食前 衣嚢点検点検あり。卒業もあと十数日となるに、他人の物をかすめる者がいるらしい。

略靴一足なくす。夕食に柿一切れつく。

10月27日(金) 雨 

朝より一日中降り通す。

一日中飛関試運転も出来ず、実習部隊で困らぬように点検整備をしっかりしておくように、深山分隊長に言われる。

10月28日(土) 晴れ 

10月29日(日) 晴れ 

六部外出。 岡空最期の外出になる。 帰り駆け足。かくて最期の外出は汗みどろ。

10月30日(月) 曇り 

銃剣術の試合を十九分隊三班と行うが負け。班内では五分五分

二十一分隊は優勝し、優勝旗を戴く。最期の球技に凱歌上がる。

夜飛関の試験、電気の試験あり。 罰直ありて、伊勢にアゴをもらう。

10月31日(火) 晴れ 

武道場にて、武技査定、剣道を選び十九分隊の者に勝ち三級。

三段の猛者は竹でもワラでも、一刀の下に切る。 夜 菓子配給あり。